京都・裏寺 メシと酒「百練」

第113回 アマリア・ロドリゲス編

アマリア・ロドリゲスが叫び呻き嘆き泣く。

とうとうこの百練聞いて語る祭もアマリア・ロドリゲスまでやってきました。実に感慨深いことです。ポルトガルは遠い国です。でもこうして日本の京都の裏寺の安酒場でアマリア・ロドリゲスの歌を聞いて飲もうという奴がいる。それはマニアでもなくお洒落でもなく粋がりでもない、「今夜もここでこうしているよ」という店の、人の、チョット濡れた地団駄である。百練でほんとに地団駄を踏むと床が抜けるのでこの店の掟は足をステップさせるかわりにグラスの上げ下げをすることだ。昔からそうなっている。ヒヤを熱燗を岸和田の酒屋から届く赤ワインをなみなみと注いだグラスを上げ下げする。あの名曲「暗いはしけ」がそれを促す。アマリア・ロドリゲスが叫び呻き嘆き泣く。「浜の老婆達はあなたがもう帰ってこないという」「私のこの胸の中にいつもあなたは私と一緒にいる」「あーあーあーあー アーアーアーアー」ギターも絡みつく。あーもうどうなるんだろう。ファドと三月か。思い浮かべる。あーアマリア・ロドリゲス。カマンベール。

続・百練の聞いて語る祭り

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