第107回 ルイ・アームストロング編
2012年1月26日(木)18:00より
寒い冬こそ街の灯りが瞼を濡らす。
子供の頃強烈にしゃがれた声で「オーウエンザセン、オーマーチニー」と歌うレコードが家にありました。ジャケットを見ると黒人の太ったおっさんがほっぺたを思いきりふくらませていました。それがルイ・アームストロングでした。うちの親父は「サッチモ」と、友達のように呼んでいました。それから十年後、俺がハタチぐらいの頃、そのサッチモとエラ・フィッツジェラルドが二人で普段着を着ているレコードが親父の家にありました。聞いたことなかったのでヒョイッと聞いてびっくりしました。名盤、「Ella & Louis」です。エラもかわいい人です。なんだか二人とも楽しそう。ふたりとも歌はもちろん史上最強にうまいけど力がスコンと抜けていて実に洒落ている。これこそ洒落ているといっていいのでしょう。まさにザッツ洒落ている。さあ真冬だからちょっとあたたかい「Ella & Louis」でいきましょう。百練のことを「ハンドレッド・ノヴィシエイト、か」といって飲んでいた男が先日いました。寒い冬こそ街の灯りが瞼を濡らす。今夜も百練いい歌があります。