京都・裏寺 メシと酒「百練」

第183回 石原裕次郎編

今夜の裏寺はきっと波止場になるでしょう。

かっこよく歌を歌うということの基本、原点、象徴は石原裕次郎だと思う。違うのだろうか。歌がうまいや歌唱力があるということよりも、歌がかっこよく聞こえて、歌い方に引き込まれてしまうのが石原裕次郎だ。

波止場を思わせるテナーサックスから始まる「夜霧よ今夜も有り難う」を今一度聞くとたまらぬ世界がある。「俺は待ってるぜ」「赤いハンカチ」「泣かせるぜ」そしてバッキー白片の名曲「俺はお前に弱いんだ」とくる。

「好きだと云えぬ 何故云えぬ 古い傷あと あるからさ ただそれだけ」「今日も明日も会えるのに 無理を云って困らせる 叱ってやれぬ何故だろう 俺はお前に弱いんだ ただそれだけ」あまりにも格好いい世界である。

「王将・夫婦駒」という歌もある。「あばれ香車なら どろんこ桂馬 乱れ角行なら向かい飛車」なんだかわからないが格好いい。

西部警察の木暮謙三警視がいきなり歌い始めた「ブランデーグラス」も忘れられない。「指で包んだ まるいグラスの底にも 残り少ない 夢がゆれている」とくる。よく聞いたらたまらんのです。ほかにもよく聞いたらたまらんのがごまんとあります。

さあ、8月最初の百練恒例聞いて語る祭はかっこいい歌の象徴石原裕次郎。今夜の裏寺はきっと波止場になるでしょう。カマンベール。

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